まだまだ続くよ…

14時、第2試合 三菱重工名古屋−日本生命戦プレーボール。


それは、去年の都市対抗でのこと。
友達と一緒に三菱重工神戸の試合を見に行った私は、そこでとっても可愛いものと出会った。
重工神戸のマスコット、ビーバーくん。
おそらく、というか絶対に三菱エアコンのキャラクターと思われるビーバーの着ぐるみ。
あまりの可愛さに、試合もさることながらネット裏からビーバーくんに熱い視線を注いでいた私。

今年、重工神戸は都市対抗出場を逃した。
「あー、じゃあ今年はビーバー見れないのかぁ」と思って残念がっていた私。
が。

今年もいたーっ!!ビーバー!!

都市対抗には「マスコットガール」という制度があり
毎年各チーム、その企業に勤務するお姉さんが一人ベンチ入りする。
マスコットガールは実は特に役割はなく(笑)
強いて言うなら紅一点で微妙にベンチが華やぐということかな?

試合前後の両チーム挨拶にはマスコットガールも一緒に並ぶ。
右側、日生の一番手前にいるのはそのマスコットガールさん。
で。
三菱重工系チーム(今回出場の名古屋&長崎に昨年出場の神戸)は
どこもこのビーバーがチームマスコットの模様。
ええ、
マスコットガールじゃなくまんまマスコットです。
(長崎もマスコットがベンチ入りしてたのかは定かでないが)



1回表、重工名古屋の攻撃。ごく普通の遊ゴロをファーストが捕球してアウト。
その時、一塁手前までベースカバーに回っていた捕手の鷲北が
なぜか転がっていた。
打球処理と全く関係ないところで一人回転レシーブ状態。どうしたワッシー。

日生の攻撃中、ネクストにいる選手の背中の文字をなんとなく目で追ってみる。
「T A I」…タイって誰やねん!(なぜか関西弁)と思っていたら、多井くん(多井清人。上宮→法大)だった。
ああそうか、そういえば多井くん日生だったなぁと。何か、まだ法政のイメージが強くて。
入社2年目で早くも四番に座ってた。

2回裏、日生は二死三塁のチャンス。ここで七番松瀬が二ゴロも、相手エラーで一塁セーフ。日生、1点先制。
松瀬は一塁ヘッドスライディング。こういうのが何だか彼らしいプレーというか。
その後もピッチャーの牽制球に頭から帰塁したりして、ユニホームは早くも泥だらけになっていた。





松瀬大、背番号3。
泥だらけになっての全力プレーは相変わらず。
変わらぬその姿勢を見るたびにどこかホッとする。



4回表、重工名古屋の攻撃。
先頭の三番・東の当たりはライトへのフライ…と思いきや、フラフラとスタンドイン。
1−1の同点に。重工はさらにヒット・四球と攻めて一気に3点を奪い逆転。重工3−1日生

6回表。マイクを使い、大音響のスタンドからの応援。そのすき間を縫って、グラウンドの声が聞こえてきた。
声の主は守備についている松瀬。大きな声を出して、懸命に投手を盛り立てている。
こういうところもやっぱり昔と変わっていないと思う。

3−2と1点ビハインドで迎えた8回裏、日生の攻撃。二死走者なしから三番の下野が四球で出塁。
四番・多井の初球で盗塁成功、二死二塁。多井も結局ストレートの四球で歩き一、二塁に。
ここで重工はピッチャー交代。そして日生も五番天野に代打を送る。
ピンチヒッター・大宅。
「打ってくれ…いや、きっと打つ…」
良かれ悪かれ、予感が当たるという瞬間がある。
大宅の打球はライトへ。「行ったか!?」フェンスに当たってはね返る。
「まわれ、まわれ、まわれ!」口に出してそう叫んでいたのか、心の声だったのか、今となっては自分でも定かでない。
二塁走者が生還。3−3、同点――。

一塁上で大宅のガッツポーズを見たような気がするが、記憶が曖昧になっている。
二死一、三塁。殊勲の大宅に代えて代走魚住。
魚住、代わるなりさっそく牽制に刺されそうになる。審判の「セーフ」の判定に球場がどよめく。アウトかと思った…(汗)
リードが大きくて、その後も度々の牽制球に見ていてヒヤヒヤする。
見ているだけで緊張する。手が冷えて、頭も痛くなってきた。
その後、魚住は二盗を決めるものの、六番竹間が二ゴロに倒れ3アウト。二者残塁。

これから先の1点は重い。
9回表、日生は先発の佐藤に代えて辻。ワンポイント継投だったらしく、1アウトを取ると今度は土井がマウンドへ。
二死から三塁強襲ヒットで走者を許す。バッターは九番冨田に代わり那須。打球はライトへ!
ライトへの大飛球。フェンスギリギリで魚住がナイスキャッチ!捕球後、勢いでフェンスにぶつかってた。
あまりの大飛球に見ていて死にそうになる。心臓に悪すぎ。

9回裏、日生は先頭の松瀬に代わり代打阿部。三塁へのゴロ、際どい当たり。セーフ!と思ったけど判定はアウト。
ベンチから身を乗り出して打球の行方を追った日生の選手たちもこれにはがっくり。
投手の池田(=宏之、明大中野→明大)に至っては思いっきりズッコケてた。

試合は3−3のまま、延長戦へ突入した。




戦況をベンチから見守るビーバー(の、頭頂部)
選手と同じ野球帽をかぶっている。



延長に入ると両者ともに決め手を欠き、あっという間に試合は11回。
今年の都市対抗は、初めてルールにタイブレーク制を導入している。
延長12回終了時で試合時間が4時間を越えた場合、一死満塁から攻撃を行うタイブレーク方式で勝敗を決するというもの。
(前日の富士重工−JFE西日本戦が延長12回の熱戦となり、あわやタイブレークかという展開だったらしい)
14時に始まったこの試合も、気付けば時計の針は17時45分を指そうとしている。
11回に入るときだったか、大会役員と審判、それに両チームの監督がホーム付近に集まり、タイブレークの際の確認をしていた。
あと15分足らずで、4時間ゲームになる。

ちょうどその頃、携帯にメールが届いた。今夜会う約束をしている友人Kからだ。
「ドームの調子はいかが?時間は合わせるよ〜。」
前日夜に待ち合わせ時間を決めたとき、私がドームで観戦してから来ることを考慮してくれたKは
「もし試合が長引いて遅くなりそうなら、待ち合わせ時間ずらしてもいいよ」と言ってくれた。
私も「じゃあもし何かあったら連絡するね」と言い、一応18時半集合と約束をした。その時点では「間に合うだろう」と思っていた。
今大会は試合と試合の間に4時間のインターバルを設定している。
社会人の平均試合時間は他のアマ野球と比べると長い。それでも4時間余裕を持たせておけばだいたいは大丈夫だろう。
しかし今日は、見事にその数少ない“大丈夫じゃない”ケースに当たってしまったようだ。

集まった審判・監督らを見ながらメールの返事を打つ。
「18時過ぎたらあきらめてドーム出ます。Tにも18時半って言ってあるし、待たせちゃ悪い。」
後楽園から待ち合わせ場所までは乗換えを入れても20分くらい。
ただ、球場を出てから駅までの時間を考えるとやっぱり30分見ておいた方が安全だ。そうなると、観戦のリミットは18時ジャスト。
17時51分、K宛てにメールを送信。一番最後に「てゆうか絶対これ(待ち合わせ時間までに)終わらない…」と付け足して。

私のメールの嘆きが聞こえたのかどうか知らないが、12回表、試合が動く。
一番沢井がショート内野安打で出塁。二番増田はきっちり送って一死二塁。ここで迎えるは4回に本塁打を放っている東。
東の打球はセンターへ。日生のセンター佐々木が飛び込むも、あと一歩届かない。無情にも打球は佐々木の後方へ転がった。
ランナーが帰ってくる。そして打った東も走って走って、三塁へ!タイムリースリーベースで、重工が4−3と勝ち越し!
さらにこの後、四番亀山にもヒットが出てもう1点追加。重すぎる2点が入った。

時計の針が18時を示している。駅に向かわなきゃとは思うけど、やっぱり席を立てなくなっていた。
スコアボード横の時計とにらめっこ。分針が少しずつ動いていく。
あと1分だけ…あともう1分…
そうしてズルズルいくのはわかっていたけど、今ここでは帰れない。試合はいよいよ12回の裏。
「駅まで走って何分かかるかな…」
さっきKに送ったメールで、一応10分くらい遅れるかもとは言ってある。
18時10分が本当のリミットだ。それまではここにいよう。KとTを少し待たせてしまうのは申し訳ないけど。
それでもし日生が同点に追いついてくれたら、あとは勝利を祈りながら地下鉄に乗るしかない。
そんな私の考えをあざ笑うかのように、日生の攻撃はあっという間に2アウトとなってしまった。
私は最後まで試合の行方を見守れなくてもいいから、日生には粘ってほしい。まだ、ここで終わって欲しくない。
三番・下野。私の、そして選手や球場にいる全ての日生ファンの願いは…
バットは空を切らなかった。見逃しの三振。18時7分、ゲームセット。
オワッタ。大会初のタイブレークになることもなく。皮肉にも、私のリミットを待たずして終わってしまった。

両チーム整列して挨拶を交わした後、選手がそれぞれのスタンド前に挨拶に来る。
そこまで見届けてから、立ち上がって出口へ向かう。
「放送席、放送席…」勝利監督インタビューの声に背中を押されながら、通路の階段を上った。

10 11 12
三菱重工名古屋
日本生命
(重工)森田、奥村、室田、白倉、佐伯−山路、西崎
(日生)佐藤、辻、土井−鷲北
本塁打 東1号ソロ(佐藤)
試合時間 4時間7分



ドームを出てからはひたすら駅までダッシュ!ダッシュ!ダーッシュ!
試合終了後なのでお客さんの入れ替わりが激しく、球場横の道も外野方面に向かうほど人が多くなって走り抜けづらくなってくる。
「一分一秒を争ってるのです、どいてどいてー!!」
そんな自己中なことを声高に叫べるわけもなく、無言のまま必死で人の間をすり抜けながら後楽園駅へ。

電車に乗ってようやく落ち着くと、さっきの試合のことを思い出した。
応援する日生の初戦敗退。2回戦での“大阪ダービー”を期待してたんだけどな。
今度応援する選手の勇姿を見られるのはいつになるのかな。日本選手権は見に行けないので、もう来年になってしまうかも。
それから、ちょっと気になったのが外野手の及川のこと。今日の試合中一度も見かけなかったんだ。
最初はスタメン外れてるだけかと思ったんだけど、ベンチ前での円陣とかでも見つけられなかったんだよね、背番号9の姿。
大会ガイドブックの名鑑には載ってたけど…。私が見落としてただけだったらいいけど。


走ったおかげで、当初の約束より10分遅れ、18時40分には待ち合わせ場所へ到着できた。
K、T、遅れてゴメン!
その後3人で食事をし、いろいろと話して盛り上がった。
そこらへんはまた別のページで詳しく書きます。

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