「好き」の理由。

好きなチームにはそれぞれ、好きになったきっかけが存在します。
好きになった時期も理由も様々ですが、それぞれのチームと私との「なれそめ」を紹介しておきます。


大阪ガス〜Only Good Summer〜

大阪ガス、通称「大ガス」。私が一番最初に名前を知った社会人チームであり、一番好きなチームです。
ユニホームはスカイブルー。その青が目に鮮やかに焼きついた夏、すっかりこのチームのファンになっていました。


それは、高校野球で鹿児島実業の応援に燃えた翌年の春のこと。
鹿実の一番打者だった俣瀬直樹選手が、社会人の大阪ガスに進んだということを知りました。
一度だけ彼の社会人での奮闘ぶりを伝える記事が新聞に載り、私はその小さな囲み記事を大切に切り抜きました。

それから時は流れ、いつしか自分があの時の選手たちと同じ歳になり、すぐにその歳をも追い越しました。
甲子園が始まる度に、あの夏のことも、引き出しの隅に入ったままの切り抜きのことも思い出したけど、
憧れた彼らのその後の情報は何もわからぬままで…
「忘れたくないけど、このまま少しずつ遠い記憶になっていくのかなぁ」と少し寂しく思っていました。

大学に入って大学野球、そしてその上の社会人野球という世界を知りました。
神宮で応援していた選手が社会人入りした年、初めて社会人野球の雑誌「グランドスラム」を購入。
再会の瞬間は突然やって来ました。
載っていた選手名鑑の大阪ガスのページを読んだとき、そこに俣瀬さんを見つけたのです。
「野球、今もまだ続けてるんだぁ…」
あの夏の試合、切り抜いた新聞記事、クラスの女の子たちと盛り上がった会話…全ての記憶が一度に蘇り、懐かしさでいっぱいになりました。

俣瀬さんを発見しただけで舞い上がっていたのですが、その後大阪ガスのメンバーをよく見てさらにびっくり。
高校〜大学とずっと応援していた選手が一人入社したことは知っていたのですが、
その他にも、ちょうど私が高校野球に夢中だった頃の甲子園に出ていた選手が結構いるではありませんか。
中には、前に所属していたチームが廃部になり、その後の進路がわからないままだった人も。
「あの時の選手が、ここにいたんだ!」思わぬ発見の連続で嬉しくなりました。

初めて大阪ガスの試合を観たのは2000年の都市対抗。
社会人野球が好きな友達と一緒に観戦しました。
外野席で見たのですが、試合前の練習で初めて俣瀬さんを生で見たときの感動といったら、もう!
感動しながらそのまま練習を眺めていると、途中で彼が何もないとこでつまずいてコケた瞬間を目撃。
思わず友達と「あっ」…2人で顔を見合わせ「…今、コケたよね?」「うん、何もないとこでコケてた…」
…い、いや、私たちは何も見てない!見てない!(汗)
(ちなみに次の試合のとき、友達が先にいて私は後から行ったのですが、着くなり「俣瀬さん、今日も試合前コケてたよ」と報告されました。笑)
高校時代の印象で、てっきり一番打者だと思っていたのですが、残念ながらこの日の打順は六番。でもヒット打ってた☆
大ガスは初戦の川崎製鉄千葉戦を6−1で勝ち、2回戦進出。
2回戦の三菱自動車京都戦は4−3で振り切り、準々決勝はヤマハを3−0と完封。
準決勝でも新日鉄君津を5−2で下し、ついに決勝進出を決めました。
ヤマハ戦からは俣瀬さんが一番に座り、9年ぶりに目にする「一番・センター・俣瀬」に喜んだりして。

その年の大阪ガスは、投手力が整備されていて、打撃はここぞというときに打つ!主軸が頼りになる!という感じでした。
エースの山田幸二郎投手は前年廃部になった住友金属からの移籍選手。
移籍してすぐに、これだけ大黒柱の働きをできるのはすごいと思いました。
準決勝で満塁ホームランを打った箱崎選手は、春に患った左手人さし指の血行障害からの復活でした。
「指がなくなるから野球をやるな」と医者に宣告された話を後から知ったときは驚きました。
そして主将の澤多選手の力強いバッティング。「どうしてこんなに遠くまで打球を飛ばせるの?」と思うほど。
当時はまだ金属バット使用で、打者が有利と言われる社会人野球でしたが、彼にはバットの材質なんて関係ないと思いました。
私に社会人野球の打撃の魅力を教えてくれたのは澤多さんです。
俣瀬さんだけでなく、小柄ながら俊足で守備範囲も広い外野の馬淵選手の魅力にも気付いたり、
高校時代から知っていた牧野選手・野夫井選手、北田投手に松尾投手…
何試合も見ていくうちに、チームのメンバー全員を応援するようになりました。

決勝の相手は三菱自動車川崎。絶対に勝ってほしいと思いました。
けれど、頼みの山田幸二郎さんが序盤から強力打線につかまり、打線は併殺でことごとくチャンスをつぶしまくる展開。
6回には松尾さんが川崎の四番・西郷選手にとどめの3ランを浴び、0−7。
9回裏、澤多さんと栗栖さんの本塁打で2点を返すも、結局3−9。初優勝はなりませんでした。

準優勝。栄冠にはあと一歩届かず、グラウンドに整列したナインを見ながら私も悔しさを味わいました。
けれど、ここまで大ガスが見せた快進撃は、ファンになるには十分過ぎるほどの魅力でした。
スカイブルーのユニホームに魅せられた夏。これからもずっとこのチームを応援して行こうと思いました。
この日味わえなかった優勝の喜びを、いつかきっと味わってほしい。その瞬間、私も球場でその光景を目に焼き付けられたら幸せです。
いつか必ず、最高の夏を――。



※After the summer ・それから〜
上の文中に出てきたメンバーのうち、北田直輝投手・箱崎豊内野手は2001年シーズンをもって現役を引退されました。
また、準優勝時にチームの指揮を執っていた長野哲也監督も2002年シーズン終了後に退任されています。


初めて大ガスを見たときにもらった選手紹介のパンフレット。一見普通の名鑑なのですが、中を開くと都市対抗出場を決めた時の集合写真が。
その写真を見て爆笑。よく見たら選手があちこちで
「アイーン」や宮尾すすむのモノマネやってる(笑)
なんて愉快なチームなんだ…と、これも一気に好きになったきっかけでしたね。皆いい顔してるんだわ(^ー^)
一緒に見に行った友人も私同様、この大会が始まるまでほとんど大ガスのことは知らなかったのですが(俣瀬さんについてだけは私が事前に解説した。笑)
ともにドームに通い詰めて試合を見るうちに彼女も完璧に大ガスファンになっていました。


2002年春、大ガスの選手たちは
銀幕デビューを果たしました!
阪神タイガースを舞台に謎の覆面投手が活躍する映画「ミスター・ルーキー」。
劇中の試合の場面にはNTT西日本・三菱自動車京都・大阪ガスの社会人3チームが選手役で出演。
大ガスは阪神の選手役で、試合中のベンチでのシーンとか、代打バースのホームランをハイタッチで迎えるとか、
ピンチに内野陣がマウンドに集まって監督と話し合う場面、最後は優勝の歓喜に湧くシーンまであって、皆なかなかの演技力?を披露しています♪
作品の公式サイトでは、撮影中のこぼれ話としてタイガースならぬ「ダイガース」の面々がいろんなプロ野球選手のモノマネしてる光景が
動画配信されたりもしていました(^^)あれ、もう一度見たいなぁ。
私はこの作品、劇場で2回見た(試写会+本公開)のですが、最後にエンドロールで出演した選手一人一人の名前が出た時はなんだかすごく感動しました。
普段は野球で名を挙げている選手たちですが、たまにはこんな形で名前を残してもいいかも。思い出になりますよね。
作品は現在DVD化されています。興味ある方はぜひチェックしてみて下さい。
私?もちろん予約して買いましたよ(笑)


俣瀬さんがコケた話は書いていいものかどうか迷ったのですが、完全無欠・憧れのヒーローだった彼に、これで親しみが湧いたので(笑)
たぶん、ドームの芝に足をとられたんじゃないかと思います。一瞬心配しました。俊足は彼の大きな武器なので、ケガのないよう大切にしてもらいたいです☆


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