夏が来た!

〜ニッポンの夏、スコバイの夏〜


What’s スコバイ?

「スコバイ」とは、「高校野球スコアラーバイト」の略称。毎年夏、各地で行われる高校野球予選。その試合のスコアをつけるアルバイトです。
毎日たくさんの球場でたくさんの試合が行われているため、取材をする各新聞社側も人手が足りないようで、私たちに声がかかります。
求められるのは「野球の試合のスコアを正確につけられる人」。
アルバイトのできる学生でその条件に当てはまる人たちと言えば、野球部員かスポの人たちくらいでしょう。
そんなわけでこの時期、各地の球場では大学の野球部員やスポの人たちがスコアラーをやっています。

一般紙の新聞社の他に、スポーツ紙のスコバイもあります。こちらはスコアつけより取材がメインのよう。
一般紙のバイトは現地でスコアをつける他に、紙面に載せるテーブルの入力や、記事のチェックなどもお手伝いします。
また、同じ社内の別の部署にも高校野球関連の仕事があり(速報とか、地域報道とか、運動部とか)そっちの方ではスポ以外の運動系サークルが
お手伝いをしていたりもします。
高校生が主役の高校野球なのですが、その裏では意外と多くの大学生が関わっているのです。


スコバイ用語の基礎知識

順不動。あくまで、私が覚えたものなので中にはうちのスポ(と、うちを毎年使ってくれる某新聞社)でしか通じないものもあるかもしれません。

外勤 実際に球場でスコアをつける仕事。
内勤 新聞社に待機して、外勤の人からの電話を受けたり、データ入力をしたり、スコアや記事に間違いがないか
チェックする仕事。
内勤の面々を総称して「内勤’s(ナイキンズ)」と呼ぶ…のは一部だけ?
公式記録員 この人のつけたスコアが「公式記録」としてマスコミ各社共通で使われます。「公式スコアラー」とも。
高野連スコアラー 高野連(高校野球連盟)側に保管されるもう一つの公式スコア。こちらは高校生の野球部員がつけます。
試合終了後、公式記録員と高野連スコアラーは互いのスコアを突き合わせて相違がないか確認していくのです。
毎日同じ球場で同じ高野連の子と一緒に仕事してると、愛着が湧いて弟や妹のように可愛く思えてきます。
記者席 だいたい各球場のバックネット裏に設置されている。
記者用だから見やすいかと思いきや、球場によっては逆に見づらい位置にあるところも。
冷房完備のところもあれば、思いっきり野外でアウトドア気分を満喫できる球場もあります(笑)
Fネット FAXを指定した番号に一括送信できるNTTの通信ネット。
公式スコアラーはスコア完成後、これを使って各新聞社にスコアを送ります。
メイン 「メインスコアラー」のこと。公式スコアラーは各球場2人1組で派遣されます。
1日3試合の場合、メインが第一と第三試合をつける(第二試合はサブの補佐に回る)。
試合後は新聞社に戻り、内勤と一緒にチェック作業を手伝っていきます。
だいたいスコバイに慣れてる上級生がメインを張るものと決まっているようです。
サブ 「サブスコアラー」のこと。まだスコアつけに不慣れな1年生や、普段野球のスコアはつけることのないラグビー班が
サブに回ることが多いです。
メインがスコアをつけてる間は内勤への電話連絡やFAX送信などを担当。
試合終了後はメインが社に戻るまで球場にて待機。
夜9時まで一人ぼっちで残されたり、気付いたら出入り口に鍵をかけられてたという悲惨な経験したことある者も。
検算 スコアの集計にミスがないかを確認する計算式。
スコバイに限らず普段の野球のスコアでも使えるので全国のスコアつけ愛好者の方もぜひ検算を!(笑)
(チームの)総アウト数+得点+残塁=打数+四死球+犠打飛+妨害出塁
左右の数字が等しければ集計は合っているはずです。ちなみにこの数字はチーム総打席数と同じになります。
試合後には必ず検算を!やらないと内勤からチェック入ります(爆)
問い合わせ (1)Fネットで送信されたスコアに疑問点があった場合、他社から来る問い合わせのこと。
   夜遅い時間に問い合わせが来ると「もしや見落としてる重要なミスがあったのでは」と思いヒヤヒヤします。
   特にその試合をつけたスコアラー本人は、その電話の対応を任されるためかなりプレッシャーが。
(2)内勤が時々受ける一般読者からの電話。内容は「○○高校の次の試合はどこの球場で何時からですか?」とか
   「○○高校と△△高校の試合は今どうなってる?」といったものがほとんど。
   試合経過については「ネット速報や速報テレホンサービスがあるんだけどなぁ…」と思うこともありますが
   ちゃんと丁寧に回答していますよ☆
スコアチェック 外勤が送ってきたスコアを、内勤がチェックすること。
集計の数字だけでなく、実際スコアをつけるのと同様に先頭打者から一打席ずつを追っていって
頭の中で試合内容を再現しながらチェックしていきます。
一つの試合を複数人でチェックした後、疑問や間違いのある箇所を全て挙げて球場にTEL。
その試合をつけた本人に確認をしてから各社宛てに「スコア訂正」を送信します。
ここから先は絶対にミスは許されない!重要な仕事です。
読み合わせ 記事やテーブル(新聞のスポーツ欄によく載ってる、○打数○安打○打点などの数字の入った成績表)に
間違いがないかチェックする作業。
2人1組になって、一人が記事やテーブルの載ったゲラ(紙面の下刷り)を読み上げ、もう一人はそれが正しいか、
スコアシートを見て確認します。
このとき、学校名や選手・審判名は一文字ずつ「字解き」もしていきます。
一試合につき、テーブルを入力して送信するときに1回、「モニター」という小さなゲラが出力された時に1〜2回、
紙面全体の大きなゲラが出てからは、責了まで3回ほど読み合わせを繰り返します。
途中で間違いがあったら訂正してもらい、新しいゲラを出してもらってから再度読み合わせ。
これをその日の試合の数だけ繰り返し。喉、マジで痛くなります…。
字解き 人名や校名などの漢字を一文字ずつ確認していく作業。日頃何気なく使ってる漢字を一つ一つ説明するのって
結構難しい。慣れるまでは読み上げる方も聞いて確認する方も大変です。日本語・英語両方のボキャブラリーと、
時には地理や歴史の知識も必要になってくる(笑)
こんな説明ではわかりづらいので、実際に字解きの例を。
「松坂大輔」…「木へんにハムの“松”、土へんに反るの“坂”、bigの“大”に車へんの“輔”」
「古田敦也」…「old“古い”に田んぼの“田”、敦煌の“敦”に『なり』の“也”」

なんとなくわかってもらえました?ではもう少し。今度は校名でいってみましょう。
「東海大菅生」…「east“東”にoceanの“海”、big“大”。草かんむりに官僚の官、生きる」
「八王子」…「エイトプリンス」

最後のはネタじゃないですよ。正直、これが一番言いやすいしわかりやすくて好きです。
こんな感じで字解きはやっています。たいていは万人にわかるような言い回しを使いますが、
気心知れた同期と組んでやると、どこまでマニアックな字解きができるかに挑戦したり(爆)
上の例で「松坂大輔」を使いましたが、実は「輔」の字解きで「松坂大輔の“輔”」とか使ったりもします。
広く知られている名詞で、相手もわかるのであれば、使えるということですね。
お弁当 私のいた頃はスコバイ中の昼食はお弁当でした。同じ場所で同じ作業を繰り返す毎日の中で、日々中身の変わる
お弁当は皆の楽しみだったわけです。
しかし2003年からついにお弁当がなくなり、昼食は各自で持参になったとか。
お弁当係/お弁当通信 毎日のお弁当のメニューを考え、注文〜各球場への配送の手配を担当するのがお弁当係の仕事。
例年、内勤の2年生の女の子がお弁当係をやってます。
そして、今後のメニューの参考にするため、お弁当を食べた人に書いてもらうアンケートが「お弁当通信」。
性格にもよりますが、これのデザインに凝ってしまう子もいます。私のように。
お弁当通信は試合の合間の手が空いた時に書いてもらうのですが、これまた書き手の性格やその時の
球場の状況などが如実に反映されていて面白い。
お弁当通信はスコバイ名物の一つだったんですが…お弁当の廃止とともになくなることに(泣)
夜食 試合終了後もチェック作業は遅くまで続くため、内勤とメインの人はほぼ毎日、社内で夜食をとります。
本社ではお弁当らしいのですが、支局は近くのデパ地下で毎日買い出し。この夜食の準備もお弁当係の担当です。
お弁当組の本社は?ですが、支局組にとって夜食もまた楽しみの一つ。
実はお弁当係も買い物するのが楽しみだったり。普段はデパ地下でこんな大量かつ高額の買い物できないし!(笑)
うまい棒/プロ野球チップス スコバイ期間になるとなぜか毎年流行るもの。内勤’sが朝、コンビニで朝食と一緒に買って来てると思われる。
うまい棒は時にお弁当と一緒に球場へ配送され、砕けたうまい棒“さきいか味”に激怒した者もいたとかいないとか。
プロ野球チップスは主に支局で流行。大会中、気付けばチーム組んで対戦できそうなほどカードが溜まってる。
引き出し開けたらさりげなく去年のカードがこんにちは!なんてこともあったなぁ(笑)
苺牛乳/ココアドリンク スコバイ中、皆が愛飲するもの。苺牛乳は本社で、ココアドリンクは支局で流行。
(ココアドリンクに関しては、私だけのブームじゃないかという説も)


スコバイの日の一日の流れを追ったドキュメント(?)
「7月某日、スコバイな一日」