出会い 〜スポと私と仲間たち〜

1.勧誘らしくない勧誘

受験生の頃に見た学校案内で、スポの存在は知っていました。
スポーツは好きだし、文章を書くのも好きだから「あ、面白そうだな」と思い、すっかり入る気満々で入学式へ。
そこで見たのは新入生を勧誘するサークルの人々の波。想像を絶する人の多さに「なんじゃこりゃ〜!」
管理人はめんどくさいことが嫌いです。煩わしいことも嫌いです。
入るサークルも既に決めてることだし、他のサークルの勧誘ビラはいらないや、と全て避けて通りました。
そしたら、肝心のスポが配ってる新聞までもらいそびれてしまいました(爆)さあどうしよう。

キャンパス内をうろうろして、新聞を配ってるスポの人たちの一群をなんとか見つけました。
そこで「すいませ〜ん、新聞もらえますか?」と声をかければ無問題なんだけど…。
コワイ。なんか、近寄りがたい雰囲気がある。皆で黙々と新聞の束広げてせっせと作業してる。
しかも中心にいる人
(注1)、めっちゃ迫力あるんですけど!とても声なんてかけられないよ…。

でもとりあえず新聞はもらっておきたいしなぁ。今日を逃したら連絡先とかわかんなくなりそうだし…。
そこでしばらく見ていると、スポの人たちが新聞の束を置いてあるところから適当な部数を持って、あちこち配り歩きに行ってることに気付きました。
これだ。集団の中に一人で突っ込んで行くのは勇気がいるけど、一対一ならなんとかなる!
そこで、話しかけやすそうな感じの女の人を探して声をかけました。

今となっては自分で何と言ったか定かでないんですが、とりあえず新聞をもらい、入部希望であることを告げた気がします。
入学式当日の割と早い時間に、自分から新聞もらいに行ってかつ入部希望を告げる。
この時点では
かなりやる気のある人みたいですよね。
そりゃあ先輩的にも大歓迎でしょう。早速、キャンパス内の出店に連れて行かれました。
と、ここまではよかったんです。

私を出店まで案内してくれたのは3年の人
(注2)で、出店では2年生がサークルの詳しい説明をしていました。
ちょうど九州出身の方がいて、私が九州だということでちょっと盛り上がり、その場にあった九州のお菓子までもらってしまいました。
こう書くと、トントン拍子に入部が決まりそうな勢いですが、落とし穴がありました。
先輩の言った一言。「部費がね、ちょっと高くて。1万円なんだけど…」
…え。
いちまんえん?高っ!これから一人暮らしを始めようという身にはちょっと痛い出費。これで一、二歩引く。
さらにその後、Hさん(♂)
(注3)が「ウチは結構忙しいし、やる気がないと続かないサークルだけど…」
とても勧誘してるとは思えない、脅しともとれるおコトバ。これでさらに引く。五百歩くらい引く。
結局その日はお菓子もらって、ノートに名前と連絡先を書いて帰ってきました。
が、出店をあとにする時点ですでに心は決まっていました。
「やっぱ、入るのやーめた」

注1:後にその人こそ編集長だったと知る。慣れてしまえば平気ですが、最初のうちは威圧感というか、迫力を感じました。オーラだったんでしょうかね。
注2:当時の3女の方。出店に行くまでに話した内容から、NさんかHさんのどちらかなのですが、はっきり覚えてません(汗)
   Nさんだった気もするけど、Hさんのような気もするし…
注3:私が帰った後、彼は隣にいたNさん(同じく2年生)に「どうしてせっかく来てくれた子に、あんな入りたくなくなるようなこと言うの!」と
   怒られたそうです。

2.神宮にて捕獲される 

出店や新入生説明会に来た1年生にはその後、先輩から連絡が来て新入生歓迎行事へのお誘いがあるのですが、
私は引っ越したばかりでまだ電話がつながらず、連絡がつかない状態。結局それで新歓行事の類には参加せぬまま4月が終わろうとしていました。
なんかもうこのままフェードアウトしてしまっていいかな、なんて思っていた4月の下旬。
大学野球を見に行ってみようと、ふらりと神宮に出かけました。
学生席で観戦して、試合後。帰ろうとしたときに後ろから「こんにちはぁ」と言う声が。
振り返るとそこには背の高いお姉さんが立っていました。

「この間、うちのサークルの出店に来てくれてたよね?」
正直、一度会っただけなのによく覚えてるなーと感心しました。と同時に「げ、見つかっちゃった(汗)」とも。
その人はあの日出店にいた2年生のSさんでした。野球の取材担当ではないが、個人的に応援に来てスタンドで見ていたところ
偶然私を見つけ、声をかけてくれたのです。
「野球担当の人たちはねー、これから取材をするんだよ」そういって球場正面の、野球担当の人たちが集まってるところに連れていってくれました。
そこでまた別の先輩たちと会って、ちょっと話をして…。帰りは同じ路線の電車に乗る先輩2人
(注4)と一緒に帰りました。
ちょうどその2日後に「新入生歓迎コンパ」が予定されていたので「明後日は来るの?」と聞かれました。
仕方なく、引っ越したばかりで連絡がつかず(という大義名分で)新歓行事などに全然参加してないことなどを話したら
「週末とかはいろんなスポーツを見て回ったり、平日のミーティングとかにも結構1年生参加してるから来てごらんよ」と。
「野球も、試合開始の30分前にいつも球場正門に集合してるから、今度はよかったらその時間に来てみて。他の1年生もいるし」

困ったなぁ…というのが正直な感想。行ってしまったら、そのままズルズルと入部とみなされる。
ああ、いちまんえん…←それかよ
先輩たちと別れたあと、一人になった電車の中で「どうしようかなぁ…」と考えていました。
でも結局、何を思ったのかその翌週、私は神宮へ行ってしまったのです。試合開始30分前に、正門に。
どうして行こうと思ったのかは、当時の自分に聞いてみないとわかりません。
でも、あの日、球場に沢山いる人の中からSさんが私を見つけてくれたこと。
そして私が翌週、スポの人たちとの待ち合わせに行くという決断をしたということは、結局私はスポに引き寄せられる運命だったのかなーと思います。

注4:3年のMさんとYさん。3人で電車に乗って帰ったのですが、初対面だし何を話していいかわかんなくて、とにかく緊張してました私。


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