できるだけ、オール早慶観戦記。(久米宏@Nステ調)

慶應も5回裏は清見が続投。
「この続投はこの間の早慶戦の罪滅ぼし…?」ボソッとつぶやいたら横で聞いてたやじまんちゃんがひそかにウケていた。
カウント2−3から先頭の田中に死球。
青木(日向)がバントで送って打席には仁志。打球はショートへ。
抜けるか?という当たりだったがショート山口がよく止めた。内野安打にはなったけど、太輔ナイスファイト!
鳥谷をフルカウントからレフトフライに打ち取り、続く武内。
これまたフルカウントから、最後は見逃し三振でチェンジ。
一死一、三塁のピンチを切り抜けた清見。ベンチに戻ると、仲間から赤いメガホンでポコポコ叩かれていた(笑)

6回表、早稲田はかつての大エース三澤(大阪近鉄バファローズ)が登板。
大学時代のことは新聞や雑誌でしか知らない。プロ入り後、TVで目にすることはあったが早稲田のユニホーム姿を見るのは初めて。
不思議と、今でも白地にえんじの「WASEDA」ユニがぴったり似合っている。
まるで早稲田のユニホームが彼を待っていたかのように、その姿はしっくりときた。
その三澤さんだが、早川にライト前へ運ばれ先頭の出塁を許した。
しかし圧巻だったのがその次だ。
池辺の打球はセカンドへ。仁志が捕る。
「4−6−…3!」自然と声を出して打球の行方を追っていた。ボールは仁志から鳥谷へ、そして鳥谷から武内へ。
まさに流れるような華麗なダブルプレー。球場中から感嘆の声が漏れた。
味方の好守備も飛び出し、三澤さんは結局打者3人で打ち取った。
それにしても仁志は上手い。5回にも、結局内野安打にはなったが難しい打球によく追いついていた。
この日、一体何度彼のグラブさばきにため息をついただろう。巨人というチームはあまり好きでないが、仁志のプレーは賞賛に値する。

6回裏、慶應は小林基(岡山城東)が登板。早稲田は矢口に代わって代打末定。
さすがに末定は夏にも見てるので久しぶりとか懐かしいという感じはしなかった。
続く由田の打球はサードへ。三木が処理しようとするも、ボールが手につかない。両チーム通じて初のエラー。
うーん、太輔と三木の三遊間はやっぱり見ていてドキドキ。ボールが飛ぶだけでスリル満点。
彼らの守備で絶叫したこと、一体何度あったかな。両手の指じゃ足りないかもしれない(笑)
慶應は、強そうでいて脆いところがあって、いっつもハラハラさせられた。
だけどその分、勝つと嬉しかった。野球の面白さを教えてくれた。

7回表、早稲田の校歌が鳴り響く中、鎌田がマウンドへ。
もうだいぶヤクルトのユニホームも見慣れたけど、やっぱり早稲田のユニホーム姿を見ると何だか安心する。
これは、鎌田に限らず他の選手たちにも言えること。
この回の先頭打者は大川。カウント0−1からの2球目を打ち上げた。ボールはフラフラと三塁側ファールグラウンドへ。
サードが落下地点に入った…と思ったら、なんとグラブに当てて落球!うそーん!
三塁手は前の回代打に出てそのまま守備についた半田(JT)。
悪い悪い、って感じの半田さんに、気にしてないですよ、といった感じの鎌田。
半田さんは学年こそ重なってないけど鎌田の高校からの先輩(秋田経法大附)だし、文句言えるはずもないよね。
仕切り直して3球目、今度はレフトフライ。上空はけっこう風があるらしく、最後はちょっと流されながらもレフトがつかんだ。
鎌田はポンポンとテンポ良く放り、わずか9球で3アウト。最後は山口を三振に仕留めて軽やかにベンチへ戻った。
鎌田vs太輔



7回表、二死走者なし。
早大・鎌田vs慶大・山口。
鎌田vs太輔その2



鎌田vs太輔その2。
投げた直後で、しっかりボールまで写ってる。



7回裏、慶應の投手は5人目の平井(三菱重工神戸)。お久しぶりです平井くん。
田中・青木に連続でレフト前へ運ばれいきなり無死一、二塁。早稲田はここで代打に開田(ホンダ)を起用。
初球でバントの構えを見せるもファールに。ヒッティングに切り替え、2−0から空振り三振。
次は鳥谷。2−0からフルカウントにまでなるが、最後は二ゴロで2アウト。
続く武内を一ゴロに抑えてチェンジ。

8回表は江尻(日本ハムファイターズ)が登板。
最初の打者は喜多。いきなり因縁の対決再び…
(01年秋の早慶戦、江尻が打った三塁打の打球を追った際に喜多くんが骨折した過去がある)
ファールで粘られながらもライトフライに打ち取り、続く湊川も同じくライトフライ。
最後は中村(大宮)を空振り三振にとってマウンドを降りた。
見ていて思ったのが「江尻、大学時代より良くなってるね」ということ。
フォームが以前より滑らかになっている。投げ終えた後でも、きれいに腕が振れているのがわかる。
そして何より躍動感がある。
相変わらず楽しそうに投げている江尻を見て嬉しくなった。

8回裏、慶應は参鍋(甲陽学院)が登板。
参鍋に罪はないのだけど、「省吾(=山本省吾、大阪近鉄バファローズ)は〜?林(現慶應コーチ)は〜?」と思う私たち。
せっかくメンバーに入ってるのだから、彼らのピッチングも見たいんだけど!
「省吾は無敵の早慶戦男だから、9回裏に満を持して登板じゃん?抑えの守護神って感じで」
「でもそしたら、林は?林こそ守護神だったし」「あ、そうか…」こんな会話を繰り広げる我ら。
平井くんvs鳥谷



7回裏、一死一、二塁。
慶大・平井vs早大・鳥谷。
鳥谷もこの日が最後の早稲田のユニホーム。
江尻先生



8回表、無死走者なし。
早大・江尻vs慶大・喜多。
実は因縁の対決(笑)
江尻先生vs喜多くん



江尻vs喜多その2。
生き生きと投げてる江尻が印象的だった。



楽しい時が過ぎるのは早い。夢の試合もついに9回1イニングを残すのみになった。
9回表、早稲田のマウンドには1年生の大谷(報徳学園)。打席には、6回から守備についていた根岸(三菱ふそう川崎)。
由伸と同期で、当時の慶應のトップバッターを務めていた彼。
今日着けていた背番号は37。なんでこの数字なんだろう?と思っていたら、erikoさんの話を聞いて納得。
根岸が慶應で1年のときに着けていたのがこの37らしい。なるほど…。
その根岸、フルカウントから流し打って、打球はレフト前へ抜けた。
「ねぎっちょ〜〜!!」根岸親衛隊と化し盛り上がる私たち。
ここで投手が左腕の宮本に交代。1年生同士のリレー。
「あ、監督出てきた!」ここで慶應側も代打。池辺がベンチへ戻り、代わりに出てきたのは背番号8。
「ツバサだ〜!!」私たちは狂喜乱舞。待ってました!!
吉田翼(明治生命)。慶應が誇る?恐怖の代打。
チームが追い込まれた場面で出てきては、その一振りでチームを救う。
思えば2000年秋の優勝も、明治戦でのツバサの起死回生の同点打から始まった。
意外性の男。何かやってくれそうな、そんな予感をふりまく背番号8の背中を見つめる。

期待に応え?ツバサは今日も存分に意外性を見せてくれた。
2球目になんと、バントの構えを見せたのである。「えええええ〜〜!?」監督のサインとはいえ、ビックリ仰天の私たち。
が、そのバントも無難に決め根岸は三塁へ。
今度はerikoさんが「大成は〜?」
そう、プリンスと呼ばれた男・高木大成(西武ライオンズ)がまだ出ていないのだ。
しかし、代打で出てくる気配もない。ふと三塁方向を見ると…
「あー!erikoさん、大成、三塁にいます!ベースコーチやってます!」そこに懐かしの背番号27を着けた大成がいた。
「出ないってことなのかしらね…」その背中を見ながらerikoさんがちょっと寂しそうにつぶやく。
三木・大川と凡退し、慶應の9回の攻撃が終わった。
新旧背番号1コンビ


池辺(左)と根岸(右)。
かつて根岸が着けていた背番号1は
その2年後に佐藤友亮(西武ライオンズ)が受け継ぎ、
今は池辺が着けている。
GK小林(笑)



9回表、無死走者なし。
根岸の打席で大谷がとんでもない方向へ投げてしまい
捕手の小林(比叡山)がゴールキーパー状態に。
ナイスセーブ!(笑)
ツバサ@背番号8


ネクストにて待つ「意外性の背番号8」、吉田翼。
慶應が誇る代打の切り札。
眠りから覚めた恐怖の代打

9回表、無死一塁。
早大・宮本vs慶大・吉田。
さあツバサのバッティングに注目!!



…そして結果は送りバント。
やっぱり意外性の男だった。
大成とねぎっちょ



三塁に進んだ根岸(右)と
ベースコーチに入った高木大成。



いよいよ9回裏、早稲田の最後の攻撃。マウンドには8回に続き参鍋が向かった。
「え〜、省吾と林は…」最後までしつこく言い続ける。ホントに見たかったんだよー!!
一方、早稲田のネクストバッターズサークルには背番号15が出てきた。
「亀井くんだ!亀井くん!」
亀井隆之(ホンダ熊本)。99年春、早稲田が11季ぶりに優勝したときのメンバーだ。
本当に最後のイニング。根岸、ツバサの打席あたりから壊れ始めていた自制心のブレーキもここで完全崩壊
「かめいく〜ん!」(←アクセントは「め」に置いて発音)と大はしゃぎ。
早稲田側の応援席では、「紺碧の空」が流れ始めた。
普段は得点が入ったときにのみ歌う曲だけど、早慶戦の最終回は攻撃の初めからずっとエンドレスで流れる。
リードされているときは特に力を込めて。
願いを込めて、鳴り止まぬ紺碧。
それを聞きながら亀井の背中を眺めていると、まるで99年の秋に戻ったようで、感傷的な思いがこみ上げてくる。
かめいくん


9回裏、ネクストにて待つ亀井。
一塁側応援席からは
紺碧の空がエンドレスで流れ始めた。
かめいくん@打席



慶大・参鍋vs早大・亀井。
都市対抗では見ることができなかったので
亀井の打席を見たのは実に4年ぶり。



亀井は投ゴロに倒れ1アウト。
続く田中はサードへの微妙な当たり。バウンドを合わせて捕った三木が慌てて一塁へ送球…
ところが、その送球が逸れた!三木ー!!最後の最後に…。叫びながら爆笑。
悪送球がなくても実は内野安打でセーフだった。さらに送球が逸れたのを見て田中は二塁を狙う。
しかしここからは一塁の大川さんが落ち着いていて、二塁へ送球し田中はアウト。
チャンスがついえて瞬時に二死走者なしに。早稲田側はがっくり。
しかしまだあきらめない。二番の青木がライト前へ持って行き、再びランナーが出る。
ここで青木に代わって代走・前田将(早実)。今季話題になった俊足の1年生だ。
噂には聞いていたけど、小柄。横でやじまんちゃんが「遠近法が…」と言っている(笑)
このとき、後輩の卑弥呼から電話がかかってきた。
「試合終わったらすぐ帰らなきゃいけないんで、挨拶だけでもと思って。どこにいます?」と言う彼女に
私たちの座席の説明をしていたとき、ネクストに背番号22が出てきた。
「あ、義積!義積!」電話越しに卑弥呼にもまくし立てる。
パンフには、早稲田の背番号22は義積(三菱重工神戸)だと書いてあった。
なので私たちは彼が見られることを楽しみにしていたのだ。
ところが――
ウグイス嬢はこう言った。「三番・小林くんに代わりまして、秋山くん。早稲田実業、背番号22」。
ええええええーーーーー!?
これには義積を期待していた一同ズッコケ。何、結局義積は来ていなかったってこと?脱力…

秋山の初球で前田が二盗を決め、二死二塁とプレッシャーをかける。
しかし、次の2球目、秋山の打球は力なくショートへ。
「あ゛ーーーーー」球場中が叫びに包まれる。ボールはショートの手を離れ、ファーストのミットに収まった。
次の瞬間、三塁側からは「よっしゃー!」という歓声が上がり、一塁側からは大きなため息が漏れた。
試合終了。3−2で、100年目の夢の一戦は慶應が制した。
試合終了



試合終了。
両チームの選手たちが出てきて整列。
100年に一度の夢の試合が、今、終わろうとしている。
スコアボード





試合終了直後のスコアボード。
夢のあと、まだ余韻を楽しんでいたい気分。



試合終了後、両監督のインタビューが行われた。
それまでは寒さも忘れていたのだが、試合が終わると途端に寒さを感じ、耐えられなくなってくる。
「寒いよ〜」と言いながら震えていると、ちょうど野村監督が観客に向かい「寒い中応援ありがとうございました」と。
「寒かったでしょう!」というノムさんに「そうだよ、ホント寒かったよ!てゆーか今も寒いよ!」と叫んでみる(笑)
卑弥呼のカメラで皆で記念撮影し、卑弥呼とhiroさんは急いで帰って行った。
試合最後の方になんとかギリギリで間に合った同期Fとも無事に落ちあえた。
さらに、今日来ていたちぃーさんに電話してみる。私が持っていたストールを目印に探してもらうことに。
目印のストール巻こうとすると、周りから奪われて防空頭巾のように頭にかぶせられた(爆)
「あんたもうこれでいいじゃん、変な真知子巻きってことで(笑)」ってコラー!
ちゃんと巻き直してたらちぃーさんが見つけてくれて、無事にご対面♪

今日の試合は、スタンドにも結構懐かしい顔が集合していた。
慶應側には、今回ケガで試合には出られなかった佐藤友亮の姿も。
試合後、球場の外に出るとOBたちが集まって待っていたり。
この後に懇親会があるとのことで、選手たちも皆スーツ姿で出てきた。
某選手を遠目に見ながら「あ、○○だ」「…ね、なんかスーツ一人だけおかしくない?」
「…スーツっていうか、あれ礼服じゃない?」「…ホントだ」なぜ礼服…。
一つ残念だったのが、同期のチアやってた子たちに会えなかったこと。
何人か、応援席でチアOGとして踊ってたらしいんだけど、見えなかった。

その後少しベローチェでお茶して、夜はerikoさん・F・Yちゃん・せつないと一緒に食事。
私たちも懇親会やってたってことで(笑)


この日の試合にはなんと1万人が詰めかけていたらしい。
とても平日とは思えないほどの盛り上がりだった。
100年に一度の貴重なイベントだから――皆そう思ってやって来たんじゃないかな。
早慶戦が始まって100年。
ほんの数年前からしか見ていない私だけど、私は、私の見てきた時代のことを誇りに思っている。
この日神宮に集まった人それぞれに、思い出に残る早慶戦があると思う。
年齢も見てきた時代もバラバラな人々が、早慶戦という一つの伝統カードの軌跡をたどり、ここへやって来た。
そんな人たちが1万人も集まって、同じ時間・同じ空間を共有できた奇跡。
お昼に、人が増えゆくスタンドと豪華な面々のいるグラウンドを交互に見比べながらYちゃんと話していた。
「私たち、ちょうど今、この時代に生きていてよかったよね」
大げさじゃなくそう思った。
100年に一度という貴重な試合。自分たちが神宮で見てきた選手たちが沢山集まったこと。
そしてその思い出を分かちあってきた仲間たちと出会い、またこうして一緒に見られたこと…
それら全てを総合しての「よかった」。
私の今年最後の生観戦は、こうして幕を閉じた。



*Special thanks*
今回は一日で沢山の人々と会えました。
まず、チケットの件でとてもお世話になったhiroさん。本当にどうもありがとう。
そして同期のYちゃん、東、K、T、F、おじーちゃんことT、ぴよたまちゃん。
先輩のerikoさん、後輩のAにI、卑弥呼、せつない、Oちゃんにaiちゃん、Iさん、Sちゃん。
現役の玄孫ちゃんには次期チーフちゃんまで紹介してもらいました。
そしてやじまんちゃん、今回初めてお会いできた佳那さん、うさぎさん、ちぃーさん。
時間がなくてちょっとしか話せなかった人もいたけど、皆会えてよかったです!
残念ながら今回は会えなかったNさん、くみこちゃん、後輩T。ぜひまた今度会いましょうね。


余談…
翌日、帰る前に野球体育博物館へ行ってきました。
前から一度行ってみたいと思ってたんだけど、面白かったです!
いろいろ珍しいものもあって、勉強になりました☆




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